門をくぐって、綺麗な日本庭園を眺めながら、なにやら、出そうな蔵の前までやって来た。
ゾクッツウウ
背筋に冷たいものが流れる………嫌な感じだわ。ここになぜか入りたくない!!!
入りたくない!!!だけど…ニッコリ微笑む西門総二郎に引っ張られて中に連れ込まれた。
もちろん!他の三人も入ってくる。
「何か思い出さない?つくし?」
西門さんがあたしの顔を覗き込みながら言う。
あたりをキョロキョロ見渡した。
暗いし、何かわかんないもの置いている。
高そうなものだというぐらいあたしにだってわかるもん!でも……何か引っかかるんだよね。
「おい!!!つくし!!!総二郎の事なんてどうでもいい!!!
俺を思い出せよ!!!なっ!つくし!!」
「ギャギャ煩い!!!ふん!」
こんなのは無視してあたしはまたあたりを見回した。
なんだろうあれ?片隅に布がかけられているものがある。
4人が何か話し込んでいる隙にあたしはその傍まで寄って行って布をどけると
現れたのは妙にリアルなこの世で一番嫌いな大蛇の絵。
「うっ……ギヤッ!!!!」
思わずしりもちを付いてしまった。
あたしの声に驚いた4人が駆け寄ってくる。
「「「「大丈夫かつくし!!!」」」」
「―――――― この絵嫌い!!怖い!!!総ちゃんの馬鹿!!!
こんなの見えないところにしまっておいてよ!!!」
「「「「えっつ!!!」」」」
見上げると眼を見開いた4人の顔…驚いているの?
「つくし。俺の事なんて呼んだ?」
「うん?何かあたし言った?」
西門さんは突然あたしを抱きしめた。
赤くなる!!!
「すっげーうれしい!!俺の事『総ちゃん』って呼んだ!少しは思い出したんだな!!」
そう言って子供のような満面の笑み、他の女なら腰ぐにゃりでホテル直行だろうが
つくしはそうは行かない。
「ギャ!!放れろ!!!」
突き放そうとしても放れないよ!!!ぎゃ!!!顔が近づいてきた!!!!
キスされる!!!
ギュと眼をつぶっていた。
「「「おい!!総二郎つくしから離れろ!」」」
ゴン
ゴン
ゴン
「っつつてーーーー殴るな!」
3人はつくしを総二郎の腕の中から助け出し、総二郎を睨んでいる。
綺麗な顔が怒っていると怖いとつくしは思っていた。
「でも、この絵相変わらず苦手なんだな。ガキのころはこの絵見て泣くわ泣くわ。
まっ!ゆっくりでいいよ。俺の事昔みたいに名前で呼んでくれよ。なっ!」
頭をポンポンされて魅惑的な笑顔で頼まれたら、頷くしかなかった。
そんなつくしを見て、大喜びする者1名、怒っているもの三名。
そんな三名を無視して、総二郎はつくしの眼を見て言う。
「この蔵。かくれんぼで入った事あるんだぜ。」
「かくれんぼ??」
「そうそう!二人っきりで!!!隠れていたんだぜ!」
総二郎は『二人っきり』と言う言葉をわざと大きく言った。
普段は落ち着いた彼もつくしのこととなるとこうなるのかもしれない。
つくしは記憶の糸を辿る。
『総ちゃん。ここ暗いね。ここに隠れるの?』
『そうだよ!きっと見つかんない!』
『怖いけど。総ちゃんが居るからいいよ。』
『///////うん!!』
『あか〜い?お熱?』
『違うよ。ねぇーつくしちゃん!僕とつくしちゃんは一期一会だよ。』
「う〜〜〜〜〜ん。隠れていたような。でもその後何かあったんだよね。
大泣きしたのは覚えているんだけど……この蔵。あんまり居たくない。それにこの家苦手。」
あたしがそういうと総ちゃんを除いた3人は笑い出した。
「ッハハッ!!!そりゃそうだよな。あんな怖い思いしたんだからこの蔵が嫌いになるのも当然!」
美作さんが言う。
「そうだよ。大騒ぎになって警察まで来ていたんだから総二郎こっぴどく怒られていたね。」
花沢さんも笑い出す
「お前が悪いんだ!!!」
この煩いクルクルに至っては怒っている!!!もう!なんなのよ!!!
「ねっ!どうして警察がきたの?」
「つくしと総二郎が行方不明になったからだよ。俺達必死で庭も家も探したんだけど見つからなくて、
総二郎の親に言ったら大騒動に発展したんだ。
途中で雷はなり始めるし、停電するし、大雨は降り始めるし」
花沢さんが当時を思い出しながら言う。
「そうだぜ!!!丸一晩!!!行方不明!!!俺は総二郎が誘拐した!!と思ったぜ!!!
おい!お前らもそうだろう?」
クルクルが花沢さんと美作さんに同意を求めると二人とも大きく頷く。
「俺がつくしと隠れようと思ったのにサッサといっちゃうし」
「俺だってつくしと隠れてお昼寝するつもりだったのに…何時も一緒に幼稚舎でしてたよね♪」
ニッコリと天使の微笑みを浮かべる花沢さん。
「お昼寝?」
「うん♪そうだよ。今度一緒にお昼寝しょうか?俺の家昔と変わんないんだよ。
つくし俺の家の俺のベッドでよく寝てたよね〜♪」
「えっ!!そうだったっけ?」
実際は類がつくしの横にもぐりこんでいたのだが、その事は決して口にはしない天使君である。
「…酷いつくし。あっ!一緒に寝たら思い出すよ。」
そう言ってつくしを連れて行こうとする類を他の三人が逃すはずもなくあっさり阻止された。
天使君は不満顔。
3人は『こいつは悪魔のシッポを持った墜天使だ!!』と思った事は間違いないだろう。
大人しいが結構行動力のある類。こいつの行動にも注意しないといけないと思った
残りの3人であった。
「う〜〜〜ん」
「どうした?つくし?何か思い出した?」
「総ちゃん?一つ聞いて良い?」
「なんなりと!」
ニッコリ笑顔で微笑む総二郎。彼の笑顔は次の言葉で引きつる。
「蔵で何かあったのはわかったんだけど、総ちゃん!あたしにそのとき何かしたでしょう?」
「えっ!!まさか!!!つくし!!起きていたのか?」
総二郎は真っ赤になってあわてだす………明らかに怪しい、怪しすぎる!!!と
男たちは思ったのだがつくしは違った。
「起きてた???アッ!!思い出した!あたし泣きつかれて寝ちゃったんだ!
きっと気のせいだよね。総ちゃん!何もなかったよね!!」
「あはっ、まぁそういうことにしておけよ」
「ヤッパリあたしの思い過ごしか!で…あたしここ嫌いだから出てるね。」
つくしは蔵を一人で出た。
慌てて総二郎いがいの3人が後を追う。
残された総二郎は蔵の壁にもたれかかり、あの日の事を思い出していた。
色鮮やかに思い出される蔵でのヒミツの出来事。
あとがき
書きました。うわぁ〜微妙なところで終わらせちゃいました。
しかも進んでいません。ごめんね。
これからどうなるかは華蓮ちゃんにおまかせする〜〜〜
総二郎君は何を隠しているのか?そのあたりもおまかせしま〜す。
楪でしたぁ〜