Act.6 Written by: 華蓮










つくしは大きなため息をつきながら英徳の中庭を歩いていた。

朝から、纏わりついてくる人達に嫌気がさしたようだ。

なにやら文句をブツブツつぶやいている事に本人は気付かないようだ

自分を食い入るようにみつめる4人の存在も・・・

 

 

 

 



「つくしだね。相変わらず独り言♪」



 

類が口元を押さえクックッと笑う。

 



「しかし、俺達に気づかないのかよ。あんなに遊んでいたのに何故気付かないんだ?」



 

総二郎はため息をつき頭を抱えた。

 

 

彼にとってつくしはかけがえのない存在だった。

 

彼女の前だと素になれた事は確かだ。

10年間俺ももちろん類達も彼女の事を忘れた事はないだろうな。

 

彼女と俺達の出会いは衝撃的だった。

 

 

いきなり俺達の前に現れて俺達の世界を照らし、色をつけてくれたんだ。

なぁーつくし。早く俺達に気付いてくれないか?

俺達の事無視する女なんて
お前ぐらいだぜ。

 

 



「おい!総二郎!あきら!類!作戦を練るぞ!」



 

司が俺達の襟元を掴み無理に屈ませた・・・これじゃ余計に目立つだろうが!!

 



「作戦?普通に声を掛ければいいんでしょう?」

 

「そうだぜ!司!昔みたいに声を掛ければいいんだろう?」

 

「お前何する気だ?へんなことするなよ!」



 

 

俺達の心配をよそにニヤニヤ笑う司は正直言って不気味だ・・・

 

つくしに変な事をしないで欲しい。

 

俺達の不安をよそに司は走り出していた。

 

俺達は慌てて後を追うが・・・

次の瞬間『ギヤッツーーーー変態!!!馬鹿!!!』という彼女らしいなんとも色気のない叫び声。

馬鹿・・・後ろから抱きつくな!!!!

 

 

誰だって変態だと思うだろうが!!!

 



「こら!!大人しくしろ!!つくし!!!」

 

「あ・・・あんた!!その手を離せ!!!離せ!!!」

 

「誰が離すかよ。逃げるだろうが!!観念しやがれ!!ったく!おい!お前らも手伝えよ!」



 

 

誰が手伝うか!!つくしに嫌われたくないからな。

類たちも俺と同じ考えのようで
呆れながら司を見ていた・・・

『その手を離せ』という念を送りながら。

 

 



「いいかげん、離してあげなよ。つくし困っているよ。

嫌われちゃうよ
司?いいの?」



 

 

類の言葉でようやくつくしを開放した途端・・・

彼女のアッパーが司の顎にヒット!!お見事!!と心の中で拍手した。

 

 



「ッ!!!なにすんだ!」

 

「何するじゃないわよ!何よ!!!馬鹿!昨日といい!今日といい!なんなの!!!

あたしの視界から消えろ!!ボケ!クルクル馬鹿!!!」



 

司の顔に青筋が浮かんできた。

 

 



『つかしゃのクルクル馬鹿ぁ〜きりゃい!』



 

 

幼い彼女がよく言っていた言葉だ。司の次の言葉は決まっている。

 

 



「「「「てめぇーぶっ殺す!ちびつくし!」」」」



 

 

F4の声がはもった。

 

彼女は俺達を凝視している。

 



「久しぶりだね。つくし」

 

「相変わらずちっこいな。つくし」

 

「また。遊んでやろうか?今度は大人の付き合いで!」



 

 

つくしからは何の返事もかえってこない??

 

何かが変だ・・・

 

 



「誰でしょうか?あたしの事知っているんですか?」



 

俺達の中に強烈なブリザードが吹き抜けた・・・なんて言ったんだ?

 



「おい・・・つくし?」



 

あきらは青ざめている。

 



「つくし・・・俺の事覚えていないの・・・」



 

類は見捨てられた子猫のようだ。

 

 

俺にいたっては言葉すら出なかった。

 

なんていった?つくし。

 

俺達の事忘れているのか?冗談きついぜ!

 

 



「つくし!!!俺の事まだおもいだせねーのかよ!アホ!!司だぞ!!

こいつらは忘れてもかまわねぇーが!!この俺を忘れるな!!思い出せよ。

なぁー
頼むから昔みたいに名前だけでも呼んでくれ!」



 

 

司は必死のようだがつくしはそ知らぬ顔。

 

冷たーい視線を俺達に向けてくる。

 

 



「しらない!しらない!みんなしらない!」



 

そう言って駆け出していった。

 

 

 

*    *     *

 



「おい!司!どういうことだよ!つくし可笑しいぞ?俺達の事忘れているみたいじゃないかよ」



 

総二郎がすごい形相で掴みかかってきた。

 

いつものポーカーフェイスはどこへ行った?

 



「そのままだ!あいつは俺達の事すっかり忘れてんだよ!!!」



 

俺は昨日の出来事を話した。こいつらはショックを受けたようだ。

 

 

つくしは俺達の後をよくついて来るような子だったんだ。

まぁーよく殴りかかってきたり、文句を言ってきたりしたが、

俺達にはその言い合いでさえうれしかったし、新鮮だったのだ。

 

 



「ふ〜〜〜〜ん。司とお見合いしたんだぁ・・・つくしは納得していない感じだね」


「してないな。馬鹿呼ばわりで」

 

「アッパー炸裂!お前も相変わらず嫌われてんな!

進歩ってもんがねぇー
8つのガキのころと一緒だ。」



 

 

こ・・・こいつら!!!好き勝手言いやがって!!!

 

 



「ふん!ババァもおばさんもこの婚約はぜってーだ!!とさ!どうだ!!いいだろう!!!」



 

ふんぞり返って言うと冷たい視線を感じた司はF3を睨み見た。

 



「何だ!!文句あるのかよ!!!」

 

「・・・わからないの?司」



 

類がため息をつく。

 



「お前だけの問題じゃねーんだよ!!!アホが!」



 

 

総二郎が俺を睨みみる・・・なんだよ!!

 

 



「まっ!俺達はそういうわけだから!」



 

あきらは微笑んで俺を見る。

 

わけわかんねぇー

 



「ねぇー司。こどものころ約束覚えてる?」



 

 

類がニッコリ微笑みながら俺の顔を覗き込んでくる。

 

 

約束?何のことだ?俺が考えているとため息が聞こえてきた。

 

 



「おまえなぁー忘れるなよ。5つの時約束したぞ!

『つくしちゃんの王子様が
誰か大きくなったらつくしちゃんに決めてもらう!』ってな!!

俺達がお前と同じ気持ちなのは10年前も変わらない。」



 

司の顔に青筋が浮かぶ。

 



「なんだ!!!つくしは俺のだ!!」

 

「「「まだ司のモノではないだろう?」」」



 

 

う・・・っ・・・確かに。

 

そのとき司の中に一つの疑問が浮かんだ。あいつはどうなんだろう?

 

まさか・・・アメリカでどこぞのアホに喰われていねぇーだろうな!!

 

 

そう思うといても他ってもいられなくなった司はつくしを確保しに走り出した。

 

直ぐにつくしに追いついて腕を捕らえると案の定

 



「ギヤ!!!馬鹿!離せ〜〜〜!!!なんなのよ!!!あんたね!!!何様のつもり?」

 

「道明寺司様!!!なっ!お前!」



 

そこへやっと追いついてきたF3は次に司が発した言葉に頭を抱えた。

 



「お前まだバージンか!!!答えろ!!処女か!!!処女だろうな!!!」



 

大声で質問する一匹の野獣に前で顔を真っ赤に染めるつくし。

 

口をパクパクさせ・・・司を睨みつけてくる。

 



「・・・でしょ・・・・」

 

「あっ?なんだよ!!!答えろ!!!」

 

「関係ないでしょう!!!クルクル馬鹿〜〜〜〜大嫌い!!嫌い!嫌い!大嫌い!!!

あんたよりみんなの方が好きだもん!!!!!!」



 

グサッと司の胸に強烈な刃が何本も刺さる。

 

つくしの言葉が何度も反響して固まってしまった。

 

そんな司に類が声を掛ける。

 

 



「なにやってんの。女の子に直球」

 

「馬鹿としかいえねぇーよ。」

 

「はい!そうですか!という奴がいるわけないだろうが!アホ!」

 

「るっせーよ!!!お前らは気になんねぇーのか!考えても見ろ!!!

つくしはアメリカにいたんだぞ!!俺の可愛いつくしが10年間も一人でいたんだぞ!!

変な男がちょっかい出して・・・クソッツ!」

 

「「「つくしは鈍感だから大丈夫だろう?SPが張り付いていただろうし、

変な男なんっていたら・・・」」」



 

3人でニッコリと笑う。

 



「「「俺達が潰せばいいことだろう?」」」



 

そういって愛しのお姫様を捕まえに走り出すF3をみていた司が、

我に返り追いかけだしたのは3分後の事だった。

 

 

 

 



「なんなの!!!あいつ!!!あんな事女の子にきくことかぁ〜〜!!!」



 

つくしはズンズンと歩き気がつくと初等部の敷地内に入っていた。

 

ベンチに腰掛て空を仰いでいると・・・3人の顔が現れた。

 



「つくし!!何している?お兄ちゃんに教えてくれるかな?」

 

「そんなことしていたら、ひっくり返って頭打つぞ?」

 

「つくしは相変わらずだね。」



 

 

なんなの・・・この人達・・・どこかで見たことあるんだけど・・・

夢の中に出てきた
男の子達だと思うんだけど・・・名前が思い出せない。

 

 



「俺達の名前か・・・思い出せない?昔あんなに遊んだんだぜ?よくケーキ食べたよね」



 

 

面倒見のよさそうな人。

 

ケーキ・・・

 

 



『つくしちゃん!今日ママがね。ケーキ作るんだよ』

 

『ケーキ!いく!みんなでいこう!』



 

 

で・・・いったんだよね。この人の家に。

 

 



「俺達の家にもよく来ていた。俺んちではな。・・・蔵で・・・」



 

黒髪の人はなぜか押し黙っている。

 

 

蔵・・・蔵・・・くらい。

 

 



『暗ーい・・・お化け出るよー』

 

『出ないよ。直ぐ見つけてくれるから・・・つくし』



 

 

その後何かあったような・・・

 

 



「俺のクマとつくしのクマも仲良しだったでしょう?」



 



『クマちゃん!おはようございます!今日も遊びましょう!』

 

『・・・つくしちゃん。いいよ遊ぼう。』



 

 

よく遊んでいた気もする。

 

 



「「「まだ思い出せない??」」」

 

「ごめん・・・うっすらとはわかるんだけど・・・曖昧というか・・・ごめん。」



 

シュンとするつくしの頭をあきらが懐かしそうに撫でる。

 

つくしが顔を赤くしているのをよく思っていない男があきらを睨みつける。

 



「睨むなよ。類、総二郎。」



 

あきらは苦笑しながら言う。

 



「「じゃはなせ。」」

 

「はいはい」



 

つくしは微笑んでいる3人をジッと見ていて小首をかしげた。

 

その姿がなんとも愛らしい。

 

3人のうちの一人がニカッと笑った・・・悪魔君の登場のようだ・・・。

 

 

 

 

あとがき

 

すいません!!!何だかありえない再会にしてしまいました〜

どうなるんだろう・・・この先は・・・あっ!つくしちゃんは処女ですよ♪もちろんそうでなくっちゃ♪

で。。。司君とは近づくどころか放れていきました〜〜〜

直ぐにくっ付いたらおもしろくないもんねぇ〜

悪魔君が誰かは華蓮ちゃんにおまかせして・・・あたしは穴で息を潜めております!

まぁー悪魔君の活躍に期待しながら・・・

 
 
 
 
 
 
 
 
 
艶やかに染まる
              Act.5 『再開』