コーサ・ノストラ…
それはマフィアと呼ばれる裏社会の集団。
マキアーノ・ファミリーは、アメリカン・マフィアの5大ファミリーの内の1つ。
アメリカの裏社会で絶大な力を誇る、世界3大ファミリーの1つである。
このファミリーの中で、今まで誰も犯さなかった禁忌が犯される。
それは、美しくも悲しい恋物語――――
護るべき君に、愛されて… Prologue
「放して!放しなさいよ!アンタ達、あたしが誰だか分かってんの?!」
夜の街をフラフラと徘徊していた俺の耳に、気丈な女の声が届いた。
ここはアメリカ・N.Yのダウンタウン。
夜に女が出歩いて無事でいられるような場所じゃない。
この時の俺は、自分の人生なんてどうでも良いと思っていたからか、
唯行き場のない感情をどこかにぶちまけたかったからか、それとも唯血迷っただけか…
普段ならこんな場面でダウンタウンを歩く女を助けたりなんてしねぇのに、
ギャング達に囲まれ廻されそうになっていた女をこの時は助けてしまったんだ。
常に銃を所持しているギャング達相手に無謀だとか、殺されるかも知れないとか、そんな事は考えなかった。
唯、ギャング達に囲まれても叫び声を上げるでもなく、恐怖に慄くでもなく、
真っ直ぐな瞳で相手を睨み付けていたその女が気になった。
気の強ぇ女…
その時はそれ位にしか思っていなかったのに、どうして俺はこんなにも…
俺の眼の前で涙を流しながら、一瞬で人をあの世に送る事の出来る黒い鉄の塊を向けている女に、
当時俺が助けた女の姿がダブる。
あの時、俺が女を助けなければ俺はコイツと出逢う事もなく、
色のない世界で生きる屍として、この先何年も宛てもなく彷徨い続けていたんだろう。
例え短くても、コイツと生き、愛し合えた事を神に感謝したい。
女の左手に留まる血の色の蝶は、彼女が俺を愛した証。
大輪の花の蜜に吸い寄せられて、虜になったのは蝶。
「Like your mind. My beloved…」
(愛しい人、あなたの心のままに…)
俺が最後にそう口にすると、女は、
「I loved you, Tsukasa…」
涙声で小さくそう呟き、引き金を引いた。
俺の脳裏に思い浮かんだ最後の顔は、大輪の花の様に咲き誇るツクシの笑顔だった…―――
愛してる…
永遠にお前だけを…