娘たちの恋愛事情
「「「「父さん!!!!大変だ!!!!!」」」」
ある昼下がりの道明寺邸にミニF4達の叫び声がこだまする。
父親たちは久々に会話を楽しんでいたのだが、息子達が血相変えてやってきたので会話を一時中断した。
「うるせぇーぞ!誠。ガキはガキで遊んでいろ」
司はうっとおしそうに誠を睨む。
「おい。そんな言い方はないだろう?こう、ゆう、どうしたんだ?」
流石美作あきら落ち着いています。
「そんなに慌てて、お前らしくないな。龍一郎そんな事だと俺みたいにもてないぞ?」
茶を飲みながら言う父親に龍一郎は冷たい一言。
「お父さん。顔は似てもいいですけど、ふしだらな性格は似ませんよ。」
「なっ!!!こいつ!」
「それどころじゃないだろう!!親子喧嘩ならかえってやれ!!!
大変なことがおころうとしている!!!俺の可愛い妹のピンチだ!!!アレはまずい!!」
誠が言う。
「「そうだ!そうだ!!まうちゃんのピンチ!」」
美作の双子は息がピッタリだ。
「そうです。雪香(ゆきか)が大変なことになっている!」
娘たちの名前が出て父親の顔つきが変わる。
息子より娘が可愛いらしい。
「おい!誠!俺の梓がどうした??」
「こう!ゆう!まうに何かあったのか???」
「雪香が!!!どういうことだ?」
この男たちの娘は去年幼稚舎に入り現在4歳。
かわいい盛りである。
「「「「お部屋で危険なお話をしているんだ!!!」」」」
危険な話??
気になる!
気になる!!
父親達は娘たちの下へ走っていく、息子も続いた。
ついたのは梓の部屋の前。司はいきなり入ろうとしたが他の父親たちに止められ暫く様子を観察する事にした。
娘たちはウサギやクマやコアラのヌイグルミを持ちながらなにやら話をしている。
「相変わらずかわいいなぁ〜♪かわいい梓ちゃ〜ん♪」
「ああ!娘は特別だな〜まうちゃんはパパの特徴をうけついでいますねぇ〜♪」
「雪香は愛らしい♪かわいい〜♪」
でれでれの父親たちを呆れた顔で息子達が見ていることに気付かない。
「「「「父さん!デレデレ不気味ですよ!!!内容を聞いてください!会話の内容を!!!恐ろしい!!!」」」」
息子たちに言われ綺麗な耳を娘の方に傾けた。
「雪香ちゃん!昨日も楽しかったね。明日も一緒に遊ぼうね」
「うん!いいよ。梓ちゃん!」
「まうもいいよ。遊ぼうね」
いたってかわいらしい会話で危険でもない気がするのだが・・・
次の一言で父親達は固まる。
「あーあ・・・もうターゲットが居ないのよ。困ったものね〜」
雪香ちゃんが愛らしい口で言う。
ターゲット??何だ???
「もう!そんなに毎日毎日!男の子引っ掛けてキスしていたらいなくなるわよ〜
昨日だって何人にキスしていたっけ?」
「えっ〜〜〜謙くん、陽くん、勇人くん、愛樹くん、翔くん、
陽一くん、春樹くん、流くん、はじめくん、あとは〜〜〜〜〜
う〜〜〜〜〜〜ン忘れたわ!!!クラス全員は制覇しているし〜
他のクラスもチョロイチョロイ!笑顔一つで落ちる男もいるんだよ〜
面白いもん!一期一会だよ〜男と女は〜♪」
そう言ってケラケラ笑い出した。
総二郎はというと
「おい!総二郎!!!大丈夫か!!!」
司が揺さぶる。
総二郎は固まったままだ。
「お父さん!!しっかり!!!」
龍一郎が言っても放心状態。
「ハハッハ!!!お前の娘だな!!!」
あきらは笑っているが娘の次の言葉で固まる。
「あたしは同世代に興味はない。」
まうは口を尖らせ言う。
「まうはね!!!一番が居るんだよ〜」
「何々?まうのパパ?」
雪香が興味津々に聞く。
あきらはうれしそうに次の言葉を待っている。
娘が自分を一番といってくれる事を信じて疑わないようだ。
あまいね。あきらくん。
「高等部の東弥くん!かっこいい〜この前たか〜い!
たか〜いしてもらった!キスもしてもらっちゃったよ。」
「高等部?凄い10歳以上離れている〜でもさぁー東弥さんって同じ学年に彼女居るじゃん!」
雪香が言うと当たり前のように言う。
「彼女ってだけだよ。別にいても良いからね〜人のものって燃えるじゃない〜♪
おいしそうだし♪」
「おい!!あきら!!!大丈夫か!!!お前の娘も確実にお前の血を引いているな」
司があきらを揺さぶっても無反応だ。
意識が遠のいて宇宙の彼方に飛んでいるらしい。
「「パパ!!!しっかり!!!」」
息子達も涙を流しながら言う。
「ふん!お前らの娘は大変だな!!!
俺の梓ちゃんは俺一筋でこの前も『パパと結婚する〜』っていってたぞ!!
いいだろう!!」
自信満々の司君にもショックを受けてもらいましょう。
「みんな大変だね。あたしはそういうの興味ないもん!
ネェ〜うさちゃん!」
ぽけっ〜とした顔でウサギに話しかける梓ちゃん。
「「そういう梓が一番もてているよ〜昨日も告白されていたじゃん!」」
「アッ!あれ?気にしてない〜どうでもいいもん!」
「んあなんあな!!!!ん なんだと!!どこのどいつだ!!!
俺の可愛い娘を誑かしているのは!!!殺すぞ!!!!」
暴れようとする司を息子達が必死で抑えている。
はい?総二郎とあきら?固まって使い物になりません。
よほど衝撃を受けたのでしょう。
「ふ〜ん。でもね。あの子とは仲良くしているじゃん!
何か入り込めない二人だけの世界って感じ〜綺麗な男の子だよね〜」
まうが言う。
「ああ!!!一つ年下の子?よくクラスに遊びに来るよね。ドアの影から覗いて!
あれ!絶対!梓めあてだよ!梓もかわいがっているじゃん!
『天使みたい』っていってたし!名前!!!なんだっけ?」
「光の事?うん!かわいい〜!!!大好きだよ!!!」
「ダイスキ」
ガクッツウ・・・司はその場に座り込んだ。
「俺の妹が・・・ウッツ」
息子も同じだ。
さらにナイフを突き刺す梓ちゃん。
「この前キスしたの〜事故みたいなものだけどね〜ファーストキスだよ〜」
ガッがガがーーーーーン
司と誠の心にナイフが・・・グサッと。
「あのね〜そういえば思ったんだけど!!!光君って。類さんに似ていない?そっくりだよ〜」
まうが言い出した。
「あーそういえば!!!似ているね。髪も!おめめも!ビー玉みたいだよ〜
アッ!苗字も同じ〜花沢〜忘れてた〜」
梓が笑いながら言う。
「「エーーーーーッ!!類お兄ちゃまは、梓のママ一筋じゃん!」」
流石F4の娘わかっています。
「うん!そうだよ。類ちゃんはママの事大好きなんだって!梓の事も好きみたい〜」
頬を染めて言う。
「それからね!!光君は類ちゃんの親戚の子だよ。昨日聞いたの忘れてた!
類ちゃんのこどものころのコピーだって!!!ママの血を受け継いでるね〜
あたし〜でもさぁ〜こんな会話パパ達が聴いていたらどうすると思う?」
「家のパパ〜さぁ〜」
「家も〜わかんないけどばれたらまずいわね〜梓ちゃんは?」
「う〜〜〜〜ん。なんか…怒鳴り込んでいきそう。それから、
『梓の半径50メートル以内に男を近寄らせるな!!!』とかいう訳のわかんない事いうとおもうもん!
でも、お友達にそんなことしたら一生口利いてやんないもん!!!」
「グッツ」
司は思った。
娘に俺の考えが読まれていると…。
固まったままの父親と兄達。
30分後に妻たちに肩を叩かれるまで、この状態はつづく。
F4の娘たち。
親に似る。(特に父親に似る)
娘たちの中には色濃く父親のDNAが組み込まれている事が、今日判明した。
例外も約1名いたのだが……司にショックを与えた事は間違いなく。
数日後の参観日の日に父親たちが男の子を睨んでいたのは言うまでもない。